寝ている間に(新平)

平次が工藤家のリビングのソファでうたた寝をする。
昨夜、というか、既に日付が越えた時間まで事件に没頭していたため、寝不足だったからだ。
眠っている平次の側に、新一がやってくる。
新一は、平次にキスをした。頬や鼻、額、唇。軽く触れるだけのキスを何度もする。
新一がキスをしてくるのは、平次が眠っている時だけだ。起きている時には、そんなことなどなかったようなすました顔しか見せてこない。
唇を、啄ばむように何度も触れてくる。
「なぁ工藤、俺、そろそろ起きてもいい?」
既に眠ってはいなかったが、新一がキスをしてくる間は起き出すわけにもいかない。平次は新一に尋ねてみた。
「もう少し寝てろ。」
新一が、キスを繰り返す。
しばらくして、ようやく新一が離れたので、平次は身体を起こした。
「服部、今度、寝てる間に抱いてもいいか?」
不意に、新一が尋ねてくる。
「そういうのは起きてる時にしろ。」
平次はそう応えてから、行為自体は嫌ではないことに気づかされた。
「俺、おまえが寝てる間にしか手を出せないんだけど。」
「起きてる時じゃないとイヤやからな。」
キスだって本当は起きている時にして欲しい。
そう言いださなかったのは、言えばすぐにでも押し倒されそうなくらい熱い視線を新一に向けられていたからだった。

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