7月 2013Monthly Archives

one word(米英)

「好きだ。」
「ああ。」
アメリカの言葉に、イギリスは書類から顔を上げることなく素っ気無く応えた。
「好きだ。好きだ。」
「聞こえてる。」
「好きだ。好きだ。好きだ。」
「聞こえてると言っただろう。」
そう応えはしたものの、イギリスが書類から目を放すことはなかった。
「聞こえてても届いてない。何度言えば、君に届くんだい?」
何をわけのわからないことを言っている。イギリスはそう言い返すつもりはなかった。代わりにイギリスが出した言葉は。
「一度で充分だ。」
イギリスは立ち上がり、アメリカの前に立つと、不意にアメリカにキスをした。
「イギリス?」
「俺ならその一度すら出す必要がないということだ。」
好きだ。イギリスの気持ちは、アメリカにも伝わった。