6月 2011Monthly Archives

結婚する?(米英)

アメリカから電話が来た。ベッドのサイドテーブルに置いてあった携帯電話を手に取る。
夜中の2時。時差を考えろ、と言ったところで、アメリカが気にすることはないだろう。
「何の用だ?」
イギリスが不機嫌そうに言う。くだらない用事だったら、すぐに電話を切るつもりだった。
「明日、休みが取れることになったから、そっちに行く。」
「それ、この時間に言うことか?」
イギリスはそう言ったが、すぐに電話を切るようなことはなかった。
「もちろんその話だけじゃない。」
どうやらアメリカの話には続きがあるらしい。イギリスが、アメリカの言葉を待つ。
「結婚しよう。君はもう一眠りして、心の準備を整えておくといい。」
「はぁ?」
いきなり何を言い出すんだ?イギリスがそう尋ね返す前に、電話は切られた。アメリカはこれから最終便に乗ってイギリスの元へとやってくるとのことだった。
電話をかけ直そうかと考えたが、きっとアメリカは既に携帯電話の電源をオフにしているだろう。
来ていきなり言うのではなく、時間をくれたのは、珍しく気を使ってくれたからだろうか。アメリカの考えていることはわからなかったが。
「心の準備ならとっくに出来てる。」
イギリスは自分自身にそう言い聞かせると、ベッドから起き出し、身支度を始めた。

運命(西ロマ)

ベッドで激しく抱き合った後、ロマーノは少しだけ素直に甘えてくる。
胸に顔を摺り寄せてきたロマーノを、スペインが優しく抱き締める。
「おまえさぁ、もし初めにここに来たのが俺じゃなくてイタリアだったら、イタリアのこと好きになってたか?」
「どうやろう。でもそれもありやったかもしれへんな。」
スペインが思いついたことをそのまま応える。だがスペインの言葉はそれだけでは終わらなかった。
「せやけど今こうして俺が抱き締めてるのはロマーノやし。ロマーノのこと、好きや。他の可能性もあったのにこうなったのって、運命感じひん?」
スペインの言葉に、ロマーノが心の中で思う。今更何言ってる、と。
運命なら、出会った時から感じていた。
「明日は俺が朝飯作ってやる。」
本当にそうするかどうかはわからなかったが。ロマーノは今はそうしたい気分になっていた。
「嬉しいけど、ダメや。」
「なんで?」
「一緒に作ろ。」
スペインに笑顔を向けられ、ロマーノは運命以上の何かを感じた。