5月 2013Monthly Archives

母の日(ハボロイ)

朝食を採らないロイのために、ハボックはコーヒーのみを用意した。
ハボックの入れたコーヒーを、ロイは満足気に飲む。
「君はコーヒーを入れるのが上手いな。」
「母に鍛えられたんですよ。食い物はそうでもなかったけど、コーヒーだけはこだわりがあったみたいで。」
「母親に感謝しておけ。正直言うと、君と初めて共に夜を過ごした時には、ただの暇潰し程度にしか思っていなかった。だが翌朝、君の入れてくれたコーヒーの味が忘れられなくてね。これがもらえるなら、君とは今後も続けてもいいかなと思った。」
初めの頃、ハボックとしてはかなり本気でロイを想っていたが、ロイがそうではなかったことにはハボックも気づいていた。だが今では、相思相愛であることは、ハボックの思い込みではない。
「俺のコーヒーに惚れました?」
「今ではそれだけではないよ。」
間違いなく、ロイの想いはハボックに向けられている。
「あなたと結ばれるきっかけがコーヒーだったと言うのなら、確かに母に感謝しなければいけませんね。」
「そうだな。今度、私から君の母に花束を贈らせてもらうよ。」
「それなら今度一緒に俺の実家にいきませんか?あなたのことを家族に紹介したいです。」
その時は、軍の上司ではなく、恋人だと紹介してもいいですか?そう尋ねたハボックに、ロイは、当たり前だ、と笑顔で応えた。