12月 2014Monthly Archives

恋愛相談(ハボロイ)

今日は久し振りに残業がないという日なのに、ロイに友人と飲みに行く、と言われ、夜のデートを断られてしまった。
友人って、誰?男?それとも女?どういう付き合いだった?聞きたいことはたくさんあったが、ハボックが言葉を出す前に、ロイはさっさと司令部から出て行ってしまった。
翌朝会った時には、ロイはいつもどおり忙しなく仕事をしていた。
昨夜はどうでしたか?質問が増える。
だが話しかける暇もないくらい、仕事に追われていた。
結局、帰宅を許されたのは夜の10時過ぎのことだった。
どうにか今日の仕事を終えたロイを、ハボックは家まで送る。
歩きながら、ハボックはロイに話しかける。
「昨日は遅かったんですか?」
「日付が変わる前には家に戻ったよ。」
「楽しめましたか?」
「久し振りに会ったから、それなりに楽しんだが。少し疲れたよ。他人の恋愛の愚痴は聞くものじゃない。」
どうやら自分という恋人がいながら、他の者とデートだったわけではなさそうだ。疑っていたわけではないが、心配はしていた。ロイはとても魅力的なのだから。
「どなたとご一緒だったんですか?」
ハボックは、ようやくその言葉を口に出した。
「士官学校時代の同期の友人だ。君にはヒューズ以外友人が居ないと思われているかもしれないが、そうでもないんだよ。他にも友人はそれなりに居た。あまり性格は合わないが、なぜかよく頼りにしてくれた相手で。いつもくだらない相談ばかりされていた。今回もそうだ。だが、久し振りに会ったというのに変わらない態度で接してくれたことは嬉しい。」
ロイは同期の中では一番出世している。一緒に士官学校で学んだ者にも、敬語を使われる立場になっている。だから変わらぬ態度で愚痴を言ってきた友人の話に楽しく付き合ったようだ。
「でもあなたが恋愛相談ですか。何か似合わないですね。」
「私もそう思う。付き合っている女性に自分と仕事のどっちが大事かと尋ねられ、仕事と応えられたら拗ねられたと愚痴られても応えようがない。私だって、彼と同じ答えしか出せないのだから。」
はっきりとそう告げられても、ハボックはそれが当たり前だと受け止めるしかなかった。ロイのそういうところもわかっていて、ハボックは恋人になることを望んだのだから。
「君ならどう応える?」
ロイは立ち止まると、ハボックに振り返った。
「どっちでもいいですよ。仕事してても恋愛してても、あなたの側に居られるのなら。」
上官でも恋人でもどちらでもいい。側に居て、ロイを護る。ハボックの想いは決まっている。
「君の愛情の深さを嬉しく思うよ。今日はうちに泊まっていけ。私も君の側に居たい。」
「いいんすか?俺、大人しく側に居るだけの忠犬じゃありませんよ。」
「それも含めて恋人なんだろう。」
珍しく、ロイもその気を見せてきている。
そんな話をしている間に、ロイの家に辿り着いた。
家に入るなり、ハボックはロイを抱え上げると、寝室へと直行した。