8月 2011Monthly Archives

touch(米英)

会議中、イギリスは突然立ち上がると、隣に座っていたフランスの胸倉に掴みかかった。
「貴様、どこ触ってやがるんだ!」
言われたフランスは、思い当たることなど何もなかった。
「おまえ、何言ってるんだ?」
「何って、おまえがテーブルの下で触ってきたんだろう。」
「どうして俺が?」
「あんなところ触るなんて、おまえしか考えられない。」
だが、フランスの潔白は向かい側の席に居た者たちにより証明された。フランスの両手はずっとテーブルの上に置かれていたのを見ていたからだ。
「だったら、誰が……」
「誰って、反対隣しかないだろう。」
フランスに言われ、イギリスがフランスとは反対隣に視線を移す。そこに居るのはアメリカだ。
イギリスは顔を真っ赤にすると、出口へと向かった。
「すぐに戻る。続けててくれ。」
イギリスはそう言い残し、会議場から出て行った。
「おまえ、どこ触ってたんだ?」
フランスがアメリカに尋ねる。
「会議中にするような話じゃないよ。」
アメリカが、何事もなかったかのような顔をしながら、珍しく真面目な態度で議題に関しての意見を続けた。
会議中にするようなことじゃないことをするな。アメリカ以外の全員がそう思ったが、それを口に出す者はいなかった。