1月 2012Monthly Archives

no reason(新平)

無事に事件を解決し、平次は家に帰った。
夜も遅い時間になっていたので、風呂に入ったらすぐに寝てしまおう。
ちょうど風呂から上がり部屋に戻った時、携帯電話が音を立てて震えていた。
新一からの電話だった。
「こないな時間にどうした?」
新一からの電話は週一、二回はきている。だから電話が来ること自体は珍しくなかったが。いつもはもっと早い時間だ。
急用だろうか?平次が新一の言葉を待つ。
「明日、そっちに行くから。駅まで迎えに来い。」
「何や、急に。こっちで捜査か?わざわざ来んでも、俺が調べて連絡するで。」
「ちげーよ。おまえに会いたいだけだ。」
会いたい気持ちは平次もあったが、お互い何かと忙しい身である。そう簡単に時間は取れないはずだ。
「暇になったんか?それは好都合や。俺も暇っちゅうほどやないけど、今日一件片付いたから、時間は取れる。」
「暇じゃない。むしろ、忙しい。」
「そないやったら、こっちに来んでもええやろう。」
「忙しいっていうのは会えない理由にならない。忙しくても、会いたいからそっちに行く。待ってても、おまえは来てくれないだろう?」
忙しいということは充分会えない理由になっているのでは?新一の考えていることは、平次にはたまにわからなかったが。
「ま、ええか。俺も工藤に会いたいし。こっちには何時に着く?」
「決めてはいないけど。できるだけ早い時間に行く。明日の朝、メールするから。」
「わかった。」
おやすみ、と挨拶し、電話を切った。
平次は電話を机の上に置くと、ベッドに入った。
ベッドに横になりながら、平次は考え事をする。
新一が何を考えて急に会いに来ることにしたのか、考えてみたが、やっぱりわからない。多分、明日会って聞いてみたところで、納得いくような応えは返ってこないような気がした。
それでもいいか。会うのに理由なんかいらないのだから。
明日の朝寝過ごさないように目覚まし時計を早めの時間にセットすると、平次は眠りについた。