2月 2012Monthly Archives

face(新平)

「人は相手に見せたい表情を出しているものではなく、見ている相手が見たい表情を出してるんだ。」
「何や、急に?」
突然の新一の言葉に、平次が応える。
「おまえってさぁ、たまに、俺のこと好きだって顔をしてる。でもそれは、おまえがそうしてるんじゃなくて、俺がそう望んでいるからそう見えてるだけだなって考えてた。」
新一の言葉に、平次は大きく溜め息を吐いた。
「見たいからそう見えるって時もあるかもしれんけど、工藤の目はそんなんで曇らん。名探偵なんやろう?おまえの目は、いつだって真実しか見えてへんよ。」
「つまりおまえは俺が好きってことか?」
「教えん。自分で答えを見つけろ、名探偵。」
平次はそう言いながら、新一に笑顔を向けた。
「おまえが何も言わない限り、俺にとっては永遠の謎なんだろうな。自分の気持ちははっきりとわかってるのに。好きだぜ、服部。」
笑顔を返され、平次は照れたように顔を赤くした。
「その表情ならわかる。キスしろってことだろう。」
新一が、平次の唇に軽く唇を触れさせた。
「それこそ、工藤がしたかっただけやないか。」
そう言い返したものの、平次の口調は怒ってはいなかった。