10月 2011Monthly Archives

まったりとした午後(新平)

テーブルとソファをリビングの端に寄せ、ふかふかのラグマットの上に仰向けで寝転がりながら、新一と平次は読書をしていた。いつもならこんな行儀の悪いことはしないのだが、ラグマットの長く柔らかい毛が、今はとても心地良く感じられた。
3分の1くらい読んだところであまり興味のない内容だとわかると、新一は読んでいた本を閉じた。
新一は天井を見詰めたまま、まだ読書中だった平次に呟くように声をかけた。
「俺と服部って付き合ってるのか、って園子に聞かれた。」
「付き合うとるのか?」
平次も読書を止めると、上を見たまま新一に尋ね返した。
「俺は違うと思うけど、おめえはどう思う?」
「俺も違うと思う。」
そう応えると、平次は再び読書に戻ろうとしたが。新一の話は終わっていなかった。
「俺ら、付き合わねぇか?」
「ええで。」
あっさりと平次は返した。
「いいのか?」
「ああ。せやけど付き合うって、どないするつもりや?」
「とりあえず、こうかな。」
新一はごろごろと転がりながら平次に近づくと、平次の身体に覆い被さり、キスをした。
突然のキスだったが、平次は新一を突き放すことはしなかった。
「あんまり変わらんな。」
「そうだな。」
新一が再びごろごろと床を転がり、平次から離れていく。
「付き合うても付き合わんでも同じだったっちゅうことか。」
「だったら付き合ってるってことにしといた方がいい。」
どうしてその方が良いのか、言った新一にもわからなかったが。何となく、気分は良かった。