give to you(新平)

「工藤、明日そっちに行くけど、誕生日プレゼントは何かリクエストあるか?」
電話の向こうの平次がそう言ってきた。
「おまえが欲しい。」
本気で出した言葉だったが、期待はしていない。平次がいいと言うわけなどない、と新一は思っていたが。
「わかった。今年の誕生日プレゼントは俺ってことで。」
「いいのか!」
平次の応えを聞き、新一は思わず大声を出してしまった。
「何度も言うてるけど、俺は工藤のことが好きやし、工藤が俺のこと好きなのもわかっとるから、工藤が欲しいっちゅうなら誕生日プレゼントはそれにする。」
確かに平次とは想いを伝え合ってはいたが、未だキスすらできていない。それが一気にそんなことになろうとは。新一は大きな喜びを感じたが。
「やっぱりいい。誕生日プレゼントは違うものにする。」
新一はそう平次に言った。
「俺じゃ不満なんか?」
「そうじゃなくて。誕生日プレゼントじゃなくて、普通におまえが欲しい。記念日におまえをもらうんじゃなくて、もらったその日を記念日にしたい。」
新一が想いを告げる。
「工藤、今からそっちに行くから、家で待っとれ。」
平次はそう言うとすぐに電話を切った。どうやら本気でこれから東京まで来るつもりのようだ。
「新幹線に乗ったらメールを寄越せ。」
新一がそう平次にメールを送る。そしてすぐに東京駅まで向かう。家でおとなしく待ってなんかいられない。
結局、平次と一緒に家に帰り着いた頃には日付を越えて5月4日になってしまっていたが。新一にとって、その日は誕生日以上の記念日となった。

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